🍞レタアン第3便(テーマ:FOOD)の完成間近! 前回の日記「アメリカの朝食 ある土曜日」につづき、わが家の日曜日と平日の朝食について書きます🍞
朝食は欠かさず食べる。ダイナーやレストランでたっぷりの朝食を楽しんだ土曜日の翌日、日曜日の朝はベーカリーやカフェで簡単に済ませるか、自分でこしらえる。メニューは卵料理、パンケーキ、バナナトースト、ダッチベイビー、フレンチトーストなど。食べるのは好きでも料理はそこそこの素人だから、高級な味にはならず、見た目は不格好で、かなり頻繁に失敗もする。それでも家庭料理には家庭料理なりのおいしさがあって、オムレツは鉄のフライパンで香ばしく焼けるし、ダッチベイビーは豪快な見た目が楽しく、フレンチトーストにはアメリカ定番のブリオッシュやハラー(ユダヤのパン)ではなくバゲットを使う。どれも「わたしのがいちばんおいしい!」と自画自賛できるから、幸せな食いしん坊ではないか。
焼き菓子を作って朝食にすることもある。いちばん簡単なのはバナナブレッドで、黒くなったバナナをほどよくつぶしたところへ、ブラウンシュガー、溶かしバター、卵、全粒粉、ベーキングパウダー、重曹、それにシナモン、ナツメグ、カルダモン少々を混ぜこむ。焼きたてのほかほかを食べるもよし、冷めてもよし、冷めたのを軽くトーストしてもよし。旬の果物で作るガレットは生地さえ冷凍しておけば手間がかからない。そして最近、週末のプロジェクトとして情熱を注いでいるのがシナモンロールだ。わたしの好きなシナモンロールはソフトでグーイーでドゥイーなパン生地にクリームチーズのアイシングが載ったタイプで、日本にもある有名店〈Cinnabon〉や〈DEAN & DELUCA〉で売っているものが理想に近い。ところが意外にも、近所で買えるのはパイ生地風のさくっとしたものばかり。ソフトでグーイーでドゥイーな、イーストの香りがするシナモンロールが食べたければ自分で作るしかない。こねるのは重労働で発酵に時間もかかるのに、食い気に突き動かされてがんばってしまう。


平日の朝はオートミールと決めている。起き抜けの胃にやさしく、食物繊維とたんぱく質が豊富で、腹持ちもよい。あたたかいオートミールを食べると、その日1日をがんばる力が湧いてくる気がする。麦(オーツ)の種類は日本よりいろいろ売っていて、わが家で使うのはオールドファッション(ロールドオーツ)または短時間で調理できるよう加工されたスティールカットオーツ。オールドファッションはつぶつぶ、スティールカットはぷちぷちとした食感で、甲乙つけがたいから両方常備している。どちらも鍋で5分ほど煮て、ブルーベリーやバナナ、シナモン、ブラウンシュガー、それにピーナッツバターを加えて食す。オフィス勤務の日の朝は早いので、前の晩にオーバーナイトオーツを作っておき(ロールドオーツと水またはミルクを1:1の割合で混ぜ冷蔵庫に入れておく)、出社してからレンジであたためて食べる。日本のふわふわした食パンもたまには食べたくなるけれど、アメリカにおいてはアジア系スーパーやベーカリーでしか手にはいらない贅沢品で、せっかく買うならゆっくり味わいたい感じ。ちなみに人気のアジア系オンラインスーパー〈Weee!〉で確認したところ、〈超熟〉の現在価格は6.99ドル(約1000円)なり。
在宅勤務の日の朝、気分転換に近所のダイナーで朝食をとることもある。家族連れや友人グループで大賑わいの週末とちがい、平日の朝はとても静かで穏やかで、見かける客のほとんどは常連さんのよう。カウンター席でコーヒーを飲んでいるのは、近所から手ぶらで歩いてきたらしいラフな恰好のおじさんたち。ブース席には朝からたらふく食べている警察官のグループや、仕事と学校へ向かう前の父娘。地域の胃袋を支える大衆食堂のあり方をよく観察できる時間帯だ。空いているから、気兼ねなく新聞や本を読んで過ごせるのもよい。とはいえオムレツとポテトを平らげるほどの余裕はなくて、コーヒーとトーストに、物足りなければポーチドエッグをひとつだけ頼む。そのあと散歩をして、8時に仕事をはじめる。平日はいつもせわしないのに、なぜかゆっくりと休息をとったような気分になっているから不思議だ。そういえば前回の日記を書いたあとで思い出した、日本にも喫茶店のモーニングというすばらしい食文化があるんだってこと。こんど厚切りの食パンを買う機会があったら、ゆで卵とセットでモーニング風、なんていいかもしれない。