文学フリマで買った本
5/19に東京流通センターでおこなわれた文学フリマ東京に出展した。
相変わらずの盛況ぶりだったし、心なしか翻訳ものを売るブースも増えていた気がする。うれしい。
わたしたちのブースに立ち寄ってくださったみなさま、ありがとうございました。
3人で店番をしながら、交代で買い物にも行けた。たくさん買えた。うれしい。
ほんとうはもっとほしい本があったのだけれど、完売等で手に入れられなかったものもいくつかあった。悲しい。でも「完売」は喜ばしいことだ。
買った本は以下のとおり。ひとことずつ感想を添えながら、順に紹介しようと思う(左上から)。
『ガザ・パッセージ① Passages Through Genocide』
ガザ/パレスチナの声を届ける翻訳同人誌。こちらのプロジェクトがもとになっているそう。最近よくチェックしているこのアカウント(ガザの状況・日常をリアルタイムで発信しているふたりの若者のアカウント)のポストを思い返しながら読んだ。彼らの人生、未来を壊す権利なんて、だれも持っていないはずだ。
ほんとうはパレスチナのためのブッククラブさんの『パレスチナのことを話し続けるzine』もほしかったのですが、完売でした。
52works『会社やだ』1&2巻(3rd bookshelf)※袋に入れたまま写真を撮ってしまいました、ごめんなさい……
韓国のリトルプレスを日本語訳したもの。全ページに共感しすぎて、激しくヘドバン。会社、やだよね。っていうか、労働がしんどい。なんでだろう。わたしはまず労働に対する相当の報酬がほしい。時給で計算すると最低賃金よりも低いって、おかしいよね。この話はまたあとでじっくりしましょう(ふふふ……)。
左岸 Life for Books『「夜になるまえに」の二〇二四年 其の一』
左岸 Life for Booksさんが紹介する本はまじではずれがない。この同人誌はブログがもとになっているので、最新の書評を読みたいかたはこちらをぜひ。今号は特に「国際ブッカー賞候補作を全作品紹介してみる。」がすごかった。「もう少しアジアの作品にも目を向けてほしいな」に完全同意。
『udtt book club』vol.7&8
韓国文学を紹介するZINEなんだけど、リソグラフで刷られていて、デザインもめちゃくちゃかわいい。そして驚異のスピードで新刊を出しつづけている。すごい。応援しています。日本語訳で読みたい作品がたくさん。「文学賞を読む」コーナーもおもしろいよ。
オカワダアキナ、落山羊、梶つかさ、孤伏澤つたゐ、ピクルズジンジャー、マルチョウ、黒田八束『父親の死体を棄てにいく』
これめちゃくちゃよかった。家父長制アンソロジーなんだけど、いろんなジャンルや物語の形があって、それらの特性を最大限に生かしてメッセージを伝えようとしているところが好き。お気に入りは、孤伏澤つたゐ「おお、同胞よ、父の言葉よ」です。こんな描き方があったか、と感動した。共同親権のことも頭に浮かんだよね。
大木芙沙子『花を刺す—エレガント・エディション—』
エレガントザリガニならぬ、大木芙沙子さんの短編集。どの作品も最高におもしろい。いちばん好きなのは「ともだち」かな。あ、でも「たばこ屋のばばあ」もよかった。大木さんの長編も読んでみたい。
もしもし『もしもしアメリカ文学 第1号』
か、かわえええええええ! スコット・フィッツジェラルドの作品をイラストや舞台マップ付きで紹介。こういう文学の紹介の仕方もあるんだね。次号はエドガー・アラン・ポーを取りあげるんですって。楽しみすぎる。
チャッチョン・アット『はじめてのタイ文学2023 燃えろ! シガー』(福冨渉訳)
前に自分が世話人をしている読書会で、プラープ『The Miracle of Teddy Bear』(U-NEXT)を課題書に取りあげた。その訳者の福冨さんが制作している同人誌ということで購入。なんと著者の朗読が聴けるQRコード付き。これ、すごくいい。2024年版も出るかなあ。気長に待っています。
近藤銀河、瀬川貴音、中村香住、水上文『クィアフェムによる恋愛ZINE』
水上文さんの書評、というか、水上さんの書く文章が好きで、『われらはすでに共にある 反トランス差別ブックレット』も大変よかったので、こちらもぜったいに買おうと決めていた。座談会編も、印象的な議論がたくさんあった(女性同士における対等、賃金格差の問題、同性婚ができるようになったらつぎにどんな問題が待っているか、など)。
アルフィ『ブラを燃やす。恋をする』(ハナ訳、ころから)
韓国のグラフィックノベル。レズビアンたちの物語。安田葵さんの解説も必読。みんな買って。そして海外のグラフィックノベルをもっともっと翻訳刊行して、という気持ち。
『小説紊乱』(寄稿者名略)
川野芽生さん目あてで買ったんだけど、ほかにも読みごたえのある作品がたくさんあった。新進気鋭の書き手たちばかりですごい。よくぞここまで集めたなという感じ。
『Kaguya Planet vol.1 気候危機』
Kaguya Planetは、わたしが最近大注目してるウェブメディア。そもそもこの3つ(「社会の声に耳を傾ける」「経済と向き合う」「世界に開かれたSFレーベルに」)を理念として掲げてる時点で最高じゃない? 書き手(翻訳者)のひとりとして、こういうメディアを応援していきたいなと心の底から思っています。次号の特集は「パレスチナ」だって。こういうところだよ。好きだよ。
高瀬隼子『め生える』(U-NEXT)
ちょうど著者の高瀬さんがいらっしゃる時間帯で、サインまでもらってしまった。歓喜。U-NEXTの〈ハンドレッド ミニッツ ノヴェラ〉というレーベルでは、いまの時代にしてはお手軽価格の中編小説が年4回のペースで刊行されてるんです。おすすめ。オーディオブックもあるよ。同じレーベルではないけど、海外文学も出してる。ドラマ〈キリング・イヴ〉シリーズ(超好き!!!)の原作もある。ラブ。
五島智記『京都ジャンクション』
高瀬隼子さんのご友人が作った写真集なんですって。【第16作品集/企画】の写真が好き。
——紹介ここまで(感想、全然ひとことじゃなかった)——
ありがたいことに、翻訳同人誌「LETTERS UNBOUND」第2便(テーマ「MONSTER」)は一部の書店でも取り扱いがはじまっています。
こちらのスレッドに一覧をまとめてありますので、ご興味のあるかたはぜひ。
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お気に入りの作品などがあれば、ぜひ教えてください。
6月23日(日)開催のZINEフェス浅草にも出展予定です。第1便と第2便を持っていきます。よろしければ遊びにきてください。文フリよりはブースが少ないので、1日で(というか2、3時間もあれば)全ブースを見てまわれると思います。
次便のテーマは「FOOD」の予定。いまは各自、作品探しを進めています。どんな食べ物が出てくるかな。わたしはフライドポテトとカレーとパセリが好きなので、そのどれかが出てくる作品を探しているのですが、ちょうどいいものがなかなか見つかりません。でも、いろいろな作品を読みながら、食べ物と文化は切っても切れない関係にあるということを、改めて実感しています。「FOOD」をテーマにすることで、翻訳ものだからこそできる読書体験がありそう。そんな作品を見つけられたらいいな。
来月からは新しい本の翻訳に取りかかります。こちらも楽しみ。訳したい・紹介したい作品がたくさんあるのに、時間が全然足りない。でもプライベートの時間はぜったい削りたくない派です。土日祝日は休ませてください。人間的な生活をしながら、翻訳をつづけていきたい。今年の目標です。
《最近のお気に入り》
本ではなくてドレッシングです。夏バテ中でも、サラダをもりもり食べられる。わたしはカルディで買ってます。緑よりは赤のほうが好き。